[くえフルコース、楽しみにしてました]
南紀東紀州シリーズ10
地元漁師と直接契約した東紀州産の天然くえだけ扱う、海を間近に望む小さなホテル。
くえは夜になると、沿岸海面近くにやって来るという幻の魚。そのグロテスクな外見から想像できない、淡白な白身と皮の間にあるゼラチン質が堪らなくうまいと聞く。
最寄り駅の改札を出ると、ご主人がワゴン車で迎えに来てくれていた。「どちらからいらしたんですか?」「東京からです」「遠くからでお疲れでしょう。熊野三山は廻れましたか、宿のそばの飛鳥神社も縄文期の遺跡が出土する古社なんですよ」などと交わしながら3分ほどで到着する。
チェックインを済ませるとおかみさんにくえを見たいと告げる。桟橋の先に生け簀がありますから、そこで見れます、と言う。
海を望む大浴場で疲れを癒す。風呂から上がり部屋に戻ると、土鍋が準備されていた。以下の料理を提供するとのこと。
1,先付け
2,くえ茶碗蒸し
3,くえ珍味(肝、胃袋)
4,くえ刺身
5,くえ焼き物
6,くえあら煮
7,くえ唐揚げ
8,くえ鍋
9,くえ雑炊
10,デザート
鍋にまず野菜を入れ、その上にくえを乗せるようにおいてゆく。くえ鍋は良く炊くほど美味しくなるので、最低20分ほどはお待ち下さい、とおかみさん似の美人の娘さんが仰る。
くえの肝は、一匹にほんの少ししかとれない。こちらではフルコースでのみ味わえる。肝のまろやかな味わいと、くえ独特のコクのある風味をヒヤでキュッと流し込む。
刺身は、まずはわさびをつけずに醤油でどうぞ。ほんのり桜色の薄造りを口の中へ入れる。柔らかいが芯のある歯応えが心地よい。噛むほどにまろやかなほのあまい旨味が拡がっていく。
焼き物が来た、焼き立てのくえは脂が表面に浮いていて期待感が膨らむ。皮目をパリッと焼いていて実に香ばしい。その皮目と白身の間にあるゼラチン質がとろける旨味!これに醤油ぶっかけたら、多分バチが当たる。
あら煮はご飯に最高に合うんですよ、いかがですか?と娘さんが言う。煮付けならともかくあら煮でご飯は食べにくいのでは?と心のなかで思うわたくしは、食べてみてから考えますとやんわりお断り。あら煮は骨をしゃぶってなんぼである。甘辛い味付けにくえのコラーゲンが融け出して、実にまろやかな味わいである。残り汁を舐めてみる。やっと気付いた、これをご飯にかけるのね!娘さんに確かめると、ちょっと所在なさげに頷く。やっぱりそういう意図だったようだが、これを舐めつつ日本酒をちびちびいくのでやっぱりご飯は結構です。
唐揚げは厚い身にじっくり火を通しつつカラリと揚げる。薄い衣でコラーゲンを閉じ込めかつホクホクした白身の食感、旨味が口の中で混じり会う。エンガワ?の部分もカリカリの食感のあとコラーゲンの旨味が来る。
鍋。20分経っても煮崩れることがない白身。口に入れるとホロリとほどける。ネギや白菜、豆腐に椎茸そしてマロニーがくえの旨味を吸っている。くえ独特の風味を味わうには鍋が一番だろう。
雑炊。お茶碗にたっぷり2杯ぶん。くえと野菜の旨味を邪魔しないあっさり軽い塩味が実にやさしい。ポン酢は入れずにその味付けで食べるのが吉!
お腹パンパンで、もう動けません。
翌朝
帰りはおかみさんに駅まで送ってもらった。最近はくえをわからずに来る人が多くて説明するのに苦労します、とおかみさん。ネットにアゲないほうがいいのかな?って言うと、そうねえと返された。
不本意だが
これがくえだと言うなら、今まで食べていたくえはなんだったのだろうか。
一泊二食付き@21300
#Retty初登場
#おかみさんアゲてしまいました、すみません
#行楽の秋キャンペーン