地元の蕎麦屋放浪記NO.108 まさかの初投稿……であることは前からわかっていた。国道50号線沿い桐生の少し手前にあるお蕎麦屋さんらしいお蕎麦屋さん。これといった派手さや特徴があるわけではないが、昔から地元の人達に愛されている常連さんが多いお蕎麦屋だと思う。
お年を召したご夫婦で経営している。昼間はおそらく娘さんらしき女性がお手伝いしているのだと思うが、この日はいないようでした。自分の蕎麦屋放浪記を語る上では欠かせないお店の一店であるが、行こう行こうと思いながらかなり遅くなってしまった。誰でも思い出深い場所やお店はあるものだ。
約10年ほど前、父親が入所している桐生広沢の介護施設まで毎週のように片道30kmを往復していた時期があった。約7年間続いた長期戦なので、何か楽しみがないと続かないなと思い始めた蕎麦屋放浪、此方のお店は当時何度となくお世話になった。いつも天付きのもりそば、冬になると「下仁田ネギの天ぷら」があったりして、とても美味しかったのをよく覚えている。
お彼岸のこの日、足利方面に出掛けた帰り道、約3年振りくらいで訪問した。車の冷房で冷えてしまったので、温かい天ぷら蕎麦が食べたくなってお願いした。出汁の効いた甘汁に二八の手打ち蕎麦、大振りの海老天に茄子と大葉の天ぷらも付いている。冷房で冷えたお腹に温かい甘汁が染み渡る。一杯のかけ蕎麦ではないが、一杯の天ぷら蕎麦がやたら美味しく感じる事がある。
当時、脳梗塞で右麻痺、車椅子生活だった父親のまだ頭がしっかりしていた頃は、施設の食事は不味いというので、よく外食に連れ出した。利き腕が使えないので、蕎麦屋は無理だったが、手掴みで食べても違和感のない回転寿司にはよく行った。帰り掛けに渡良瀬川のほとりまでよく行ったことを思い出す。
施設からの帰りにも時々立ち寄った。蕎麦を啜りながら、月毎、週毎に徐々に進んでいく認知症に時の流れを悲しく感じた。
♬
白髪まじりの髪をとかして
少しふけたといいながら
鏡をのぞく後ろ姿が やけに小さく見えて
子供の頃布団の中で 貴方の胸にだかれて
聞いて眠ったおとぎ話が 思い出せない
悲しいです時の流れが 貴方を変えて行く事が
小さく見える貴方のそばに いつも僕が父さん
貴方の明日に 幸あれと
貴方の明日に 幸あれと
通りすぎればつらい事も
笑い話と言いながら
酒をのみほす貴方の目が やけに淋しくみえて
きっとこの春お姉ちゃんを 嫁に出したからだね
そうだあの時初めてです 貴方の涙みたのは
悲しいです時の流れが 貴方を変えて行く事が
小さく見える貴方のそばに いつも僕が父さん
貴方の明日に 幸あれと
貴方の明日に 幸あれと
………♬♬ (歌詞: 父さん)
脳内BGMは、いつもこんな感じだった。お店の店主は、細くて背が高く、どこか親父とかぶるところがある。多分奥さんだと思うが、腰が結構曲がって歩くのが辛そうだが、お会計の時に「子供騙しだけど…」と言って、いつも飴をくれる。お年寄りの好きな黒飴だ。
最近、時間が経って漸く桐生方面に足が向くようになった。たまには思い出してあげなければと思って、懐かしい場所に行ってみた。どんな事も時間が解決してくれる。そう思い、頂いた黒飴を舐めながらお店を後にした。
ご馳走様でした!
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